新基準機スロットの大コケ≠パチンコ業界の崩壊?(メーカー編)
こんにちは、古家智嗣です。
春休みにも関わらず、留年決定でブルーな日々を送っています。
体の方は何とか一日数時間はホールに行けるくらい回復してきたので、
そのうち実践記事も書けると思います。
さて、前回は主にホール側の事情からパチンコ業界はそう簡単には崩壊しないよ、
という記事を書かせていただきましたが、メーカーから見るとどうでしょうか?
直感的に考えると、苦しいのはホールより
むしろメーカーではないかとも思われますが、真相はいかに。
まず、動かざる証拠として、新台出荷台数を見てみましょう。
2016年の回胴式遊技機すなわちスロットの出荷台数は約81万台。
前年比-27.5%となっています。
ちなみにそこから逆算すると、2015年の出荷台数は約112万台となります。
1年の減少幅としてはかなり大きいと言えます。
当然メーカーの業績にも影響は出てきます。
例えばSANKYOは利益7割~8割減少という業績予想を立てています。
その他の上場企業を見ても減益のところは少なくありません。
こういう現状をとらえて、パチンコ業界の終焉は近いという記事を
書いた人がいます。しかも、個人のブログとかではなく、
大型ニュースサイトで紹介されるような人がです。
しかし、もしこの程度の事実で業界終焉を本気で考えているならば、
この方は経済の記事を読んだことがあるのかと疑いたくなります。
まず、出荷台数を考えたとき、1年で3割近く減少するのは確かに厳しいです。
一昔前、リーマンショックという大不況に陥った時期がありましたが、
現状はスロット業界のリーマンショックと言ってよいかもしれません。
それでも81万台という出荷台数は少なくはありません。
スロットの新台価格を40万円、いや、大量導入値引きも考えて
30万円と考えても、81万×30万=2430億円です。
確かに、(112万ー81万)×30万を計算してみると930億となり、
1年で1000億円前後の売り上げが消えたという事実は重いです。
業界最盛期と比べると、比較にならないでしょう。
パイが減っているのは誰の目にも明らかですが、
2000億円産業と聞いて、すぐに消滅すると思いますか?
不況にお決まりの小規模事業者の淘汰、リストラや合併等による業界再編
などは起こる可能性が高いですが、業界そのものが沈没するとはとても
考えられません。
そもそも、大減益と聞いて危ない危ないと騒ぎ立てたり、それを鵜呑みにするのは
典型的経済初心者です。
減益というのは8割だろうが9割だろうがいくらかでも利益がある、
すなわち赤字ではないということです。
企業が本当に危なくなるのは赤字の場合、それもその額が多額になって
債務超過に陥ったり、銀行等の融資が止められるような場合です。
大減益であろうが黒字であれば存続に何ら問題はありませんし、
赤字でも多額でなければ今が今かと危機には陥りません。
実際、赤字を垂れ流しながら何年も生き残っている
上場企業などいくらでもあります。
その上、企業というのは利益が上がるか否かにとても敏感です。
スロットが赤字を垂れ流すようなら、まず縮小を考えます。
それでもだめならば撤退という選択肢もあります。
実際はシェア争いなどが絡むので、赤字即撤退は短絡的ですが、
企業には作らない自由もあるということを失念すると、
間違った結論に至ります。
勿論、パチンコやその他事業に振り向けられなければ閉鎖や身売りも
ありますが、それは先ほど述べた淘汰・リストラ・合併など
当然に予想された範囲内のことです。
現状は企業の戦略や体力が試される厳しい状況ですが、大手も含めて
あちらもこちらも潰れるなどという主張は夢想かなと思います。
大分長くなってきましたので、今回はこれくらいにしておきます。
次回はこの新基準機の現状を「ピンチはチャンス」ととらえることは
本当に正しいのか、またこのまま新基準機のみになった場合どのような
結果が予想されるのかなどを書いていきたいと思います。
追記:
この記事を書いていた段階では、逆風とはいえまだまだ・・・という感じでしたが、
その後の展開は想像をはるかに超えるものでした。
スロット新台の販売台数は2017年で約75万台と更に減少しますが、
2018年の見込み値は何と約35万台!
勿論確報ではありませんが、検定を通さなければならない以上、
急に大物が出てくることはありえません。
つまりスロット新台販売台数を順に並べると、
2015年:約112万台
2016年:約81万台
2017年:約75万台
2018年:約35万台(見込み値)
となります。
こうなるとさすがに逆風などというレベルではありません。
パチンコの方はまだ100万台を優に超える販売台数があるので、
両方出せるメーカーはそれでもマシでしょうが、
スロット専門だと状況は厳しすぎます。
そもそも、全国のスロット総設置台数は約170万台と言われていますので、
35万台だと年間で約2割しか入れ替わりません。
旧基準機が未だにのさばり、新台入替が少ないとは感じていましたが、
まさかここまでとは・・・という印象です。
メーカーの苦労は相当なものと思われます。
その先についても、一時はお先真っ暗という雰囲気でしたが、
新6号機は有利区間による出玉制限はあるものの、純増制限が 撤廃されました。
既にいわゆる旧基準機の純増制限3枚を超える純増5枚の機種も発表されています。
純増8枚の機種が控えているとの情報もあります。
これは、ある経済紙に10年に1度の改善と言わしめました。
実際、新基準機は当たらない・出ない・遅いの3重苦を抱えていたわけですが、
当たらないは仕方ないにしても、出ない・遅いは相当な改善が期待できます。
純増の速さ+有利区間出玉制限は客の回転の高速化や、
仕事帰り層への遡及力などの副次的効果も見込まれます。
6号機待ちで新台を抑えてきたと述べる雑誌もありますが、真相はいかに。
2018年後半から、2019年にかけて台数が復活するのか、
はたまたやっぱり厳しいのか、今後の情報に注目ですね。
追記の追記:
ここまで書いてきた通り、スロットの販売台数は大変厳しいですが、
メーカーも決して手をこまねいているわけではないようです。
検定に持ち込まれた機種は数百にも及ぶとか。ただ、検定通過が難しい。
2400枚・3000枚規制や純増規制にばかり目が行きがちですが、
検定では出玉試験などさらに多くの審査があります。
メーカーの技術者は規制に対応する計算のプロのはずですが、
それでも苦労しているようです。
5.9号機から6号機への移行が短期間だったことも
影響しているかもしれません。
このあたりがどうなってくるかでしょうね。
個人的には、認められるゲーム性が徐々に確立されていき、
機種も増えてくると思いますが、どうでしょうか。
ゆっくり見守っていきたいと思います。